水谷ペイント株式会社

水谷ペイント株式会社（本社：大阪府淀川区、社長：水谷成彦）は、2022年3月1日に創業100周年を迎えます。当社の発展を支えてくださったお客様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様に、心より感謝申し上げます。

当社の歴史は1922年に大阪市浪速区で創業した「水谷ワニス工場」から始まりました。日本の塗料メーカーは第一次世界大戦で欧米からの塗料の供給が途絶えたことで大正期に一気に数を増やし、当社もこうした時代の要請の中で誕生しました。創業当時の看板製品は防水油で、テント地や船舶用シート、帆布の防水塗装に使われ評判を呼び、昭和期まで続くロングセラーとなりました。その後、太平洋戦争下の塗料統制や戦後の混乱の中で社名を変え、時には畑違いの雑穀の食品加工業に従事しながらも、1947年に本業である塗料製造業を再開し1949年に「水谷ペイント株式会社」として再スタートしました。

現在の本社航空写真（淀川区西三国）

1934年の工場（西成区津守）

「水谷ペイント」の歩みは技術開発の歩みでもあります。1953年に市販を開始した厚型セメント瓦塗装用の塗料「ポリマ#6000」は、国内で初めて開発されたビニルモノマー自社重合の合成樹脂塗料であり、それまで市場になかったセメント瓦用の塗料として瓦屋根の保護および美装の向上に貢献しました。この技術を発展させて1955年に生まれた「ボウジンテックス」は、日本の電子産業の成長期においてこれまでにない防塵床用塗料として塵埃を嫌う精密部品を扱う大手家電メーカーなどの工場の床に採用され、「ポリマ#6000」と並ぶヒット製品となりました。また、1956年には業界初の水系の壁用塗料「ポリマテックス」を発売し、当社の水系塗料製品の先駆けとなりました。

当社が現在まで続く水系塗料の製造指向を明確に打ち出したのは、エコマーク制度の対象製品に「有機溶剤を使用しないペイント」が追加された1991年のことです。地球環境問題に人々の関心が集まり、低公害型の水系塗料への注目が高まりつつあった中で、当社の「ポリマテックス」と「水系ダントップR」が業界で初めてエコマークの認定を受けました。以後、当社は環境配慮型塗料の開発、拡販に積極的に取り組み、1996年から産学官連携で開発を進めていた「ナノコンポジットエマルジョン型建築用塗料」は2004年に地球温暖化対策壁用塗料「ナノコンポジットW」として本格発売を開始しました。同製品の開発技術は2007年に日本三大技術賞のひとつと言われる「井上春成賞」を受賞し、同賞が創設されて以降初めての塗料技術に関係する受賞となりました。また、2010年にはバイオマス原料を用いた屋根用塗料「バイオマスR」を発売し、CO2排出削減をコンセプトにした環境にやさしい新しい塗料化技術を開発しました。2019年には令和元年度サポイン事業（戦略的基盤技術高度化支援事業：経済産業省）に採択され、コロナ禍に必要とされる性能を有した水系抗菌・抗ウイルス対策内装用塗料「ACコート」を4月1日に発売いたします。

昨年開催されたCOP26では世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えることが正式な目標に定められました。CO2排出削減は塗料業界でもますます重要な課題であり、当社は次の100年に向かって一層技術を磨き、環境にやさしい製品開発で社会に貢献して参ります。